チーム医療への参画

栄養サポートチーム感染制御チームプロトコール審査委員会内服科学療法サポート外来緩和ケアチーム
チームネクサバールせん妄対策チーム心臓リハビリチーム糖尿病センター
褥創対策委員会認知症疾患医療センター乳がん治療・再建センター頭頸部がんセンター臨床研究コーディネーター

 

栄養サポートチーム(Nutrition Support Team; NST)(名和秀起、日野隼人)

NSTとはNutrition Support Teamの略で、栄養不良の患者さんに対して栄養療法を医師、薬剤師、歯科医師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、臨床検査技師らによって行うチーム医療の一つです。当院のNSTは、2002年4月に設立されました。2012年11月からは、NST加算を算定しています。NSTミーティング・ラウンドは週2回実施し、一般病棟と重症系病棟の対象患者さんの栄養療法について検討しています。現在、薬剤部から2名のNST専任薬剤師が、NSTミーティング、NSTラウンドに参加しNSTの一員として活動しています。NST専任薬剤師は主に患者さんの状態や食事摂取量などを確認しながら栄養輸液の処方提案を行っています。また当院はNST認定教育施設であるため、毎年NSTの研修生を受け入れ教育にも力を入れています。

 

感染制御チーム(Infection Control Team; ICT)(岡崎昌利、田坂 健、東恩納 司)

感染制御チーム(Infection Control Team、以下ICT)とは、感染管理を担当する医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、歯科衛生士などで構成される専門職のチームです。医療関連感染の発生を予防することを目的に活動しています。患者様に安心・安全な医療を提供すると共に、職員の安全や健康も確保していくという重要な役割を担っています。ICTの主な活動内容は、(1) サーベイランス、(2) 抗菌薬ラウンド・感染対策実施状況ラウンド、(3) 職員の抗体検査とワクチン接種の実施・管理、(4) 職員の教育・啓蒙活動、(5) 感染対策マニュアルの作成、(6) 感染対策地域連携 です。薬剤師は主に、抗菌薬の使用状況のモニタリングやTDMを通して抗菌薬の適正使用に貢献しています。

 

ロトコール審査委員会(矢尾和久、鍛治園 誠、正岡康幸)

昨今、がん化学療法は多岐にわたり、いくつもの抗がん剤を組み合わせて治療することが一般的になっています。また、多くの新たな抗がん剤が次々と上市され、日々進歩しています。抗がん剤は薬としての作用を示す用量と毒性が現れる用量がとても近いため、用法や用量を間違えると致命的な結果になることがありますし、溶解する溶液を間違えると薬効がなくなる薬剤もあります。そこでがん治療で投与する薬剤の種類や量、治療のスケジュールや投与順を時系列で示した計画書をレジメンと呼び、このレジメンを電子カルテ内に登録し、レジメンを通してでなければ抗がん剤の投与が不可能なシステムを構築しています。そのアラーム機能を利用し、薬剤の過剰投与や重複投与を防ぎ、業務の効率化を図っています。

プロトコール審査委員会

当院では有効かつ安全な抗がん剤治療を、また、世界の最先端の治療を推進するために、レジメンを審査・登録することを目的としてプロトコール審査委員会が 設置されています。がん治療を実施している各科診療科の医師の他、14名の委員のうち3名が薬剤師であり、委員会における重要なポストを担っています。審 査内容としては、有効性を示すエビデンスの有無、用法・用量、投与速度や休薬期間、支持療法の妥当性や混注作業をする上での問題点などの有無などが含まれ ます。委員会での審議の他、電子カルテへのレジメンの登録も薬剤師が行っており、安全で効果的ながん治療に貢献しています。

内服化学療法サポート外来(鍛治園 誠、林 瑶子)

がん治療は手術療法、放射線療法、化学療法が中心となります。実際の治療は、それぞれが単独または併用されることにより進められます。その中で化学療法は抗がん剤、分子標的治療剤、ホルモン剤による治療のことを指し、当院ではその多くが外来で行われています。外来での化学療法をより安全に実施するために、がん治療を主に行っている医師、外来腫瘍センターの看護師、各診療科の看護師、歯科衛生士、臨床心理士とともに薬剤師もこの会議の委員として、外来での患者さんへの薬剤管理指導や抗がん剤の調製で貢献しています。私たち薬剤師も、化学療法部門会議の一員として日進月歩のがん治療の世界で、世界標準の治療を安全に提供するために日々努めて参ります。

化学療法

緩和ケアチーム(鍛治園 誠、佐田 光、佐藤晶子)

緩和ケアとは、がんと診断された時から認められる身体や心の様々な苦痛を和らげ、患者さんやご家族にとって可能な限り良好な、元気だった頃と変わらない生活を実現させるための医療です。かつて緩和ケアは、終末期に提供されるケアと捉えられた時期があったために、積極的な治療ができなくなった人のための最後のケアと誤解されがちですが、実際は病状のどの時期においても行われる医療であり、緩和ケアチームは患者さんそれぞれが症状をコントロールしながら、ご自分の生活にあわせた治療の選択や、ご自分らしく生きるためのお手伝いをしています。緩和ケアチームは、緩和支持医療科の医師、精神科医の医師、薬剤師、看護師のコアメンバーの他、呼吸器、消化器などの症状緩和を専門にする医師、麻酔科の医師、歯科衛生士、管理栄養士、臨床心理士、メディカルソーシャルワーカなどから構成され、毎週カンファレンスを開催し、入院患者の情報を共有して週に2回はチームラウンドを行っています。

緩和ケア

 

緩和ケアセンター(鍛治園 誠)

 

がん患者さんの身体の痛みや心の痛みを緩和するため、がん対策推進基本計画では「治療早期からの緩和ケア」をさらに早めて、「がんと診断されたときから緩和ケア」を始めることとしています。また、がん患者さんからは「緩和ケアチームや緩和ケア病棟といった受け皿を作るだけでなく、患者の痛みを汲み上げ確実に緩和ケアへつなげる仕組みが必要」との声があります。多くの病院や施設で緩和ケアチームや緩和ケア外来が一定数整備されてきている一方、専門的緩和ケアにたどり着けない、施設間の質の格差等の指摘があり、提供される緩和ケアの体制強化と質の向上が求められています。がん性疼痛をはじめとする苦痛を抱えた患者に対し、より迅速かつ適切な緩和ケアを提供するため、都道府県がん拠点病院において、「緩和ケアセンター」を整備し、診断時より切れ目のない緩和ケア診療体制を構築しなければなりません。薬剤師もセンターのコアメンバーの1職種として入院・外来を問わず、がん患者さんの苦痛軽減のためのシステム構築を他職種と協力しながら行っています。

 

乳がん治療・再建センター(鍛治園 誠、林 瑤子)

日本では年間に5万人を超える女性が新たに乳がんと診断され,女性が罹患する悪性腫瘍の臓器としては最多です。年齢別に見た女性の乳がん罹患率は30歳代から増加しはじめ,50歳前後が罹患のピークです。すなわち,家庭や職場でもっとも存在の大きな世代での罹患の多い疾患と言えます。

乳がんの治療は,手術,放射線,薬物治療などを組み合わせて行われることが一般的です。それぞれの治療は効果が科学的に証明されていますが,同時に様々な負担や副作用を伴うことが知られています。治療も長期に及ぶこともあり,多くの職種が関わってご家族とともに患者様の治療にあたっています。我々薬剤師も,チームの一員として,薬剤の効果や副作用の説明だけでなく,支持療法の提案や患者様毎の悩み・問題などを考慮し,職種の枠を超えた業務を展開しています。また,外来においては,1週間に1度,医師,薬剤師,看護師での患者情報の共有を目的としたカンファレンスも実施しています。

乳がん

 

チームネクサバール(晴田佑介、槇田崇志、林 瑤子)

近年、がん治療において経口抗がん剤を使用することは少なくありません。分子標的治療剤の開発により治療の選択肢が広がりましたが、副作用のために治療を中断してしまうこともあります。そこで、肝細胞癌に用いる分子標的治療剤であるネクサバールの服用継続を支援する目的で、2010年にチームネクサバールが発足しました。入院では用法や副作用の説明を行い、副作用を予防するためのコツを指導しています。外来では医師の診察を待つ時間を利用して、看護師や薬剤師が副作用状況を確認し、必要であれば薬剤の処方提案を行っています。このように、入院から外来へ継続して介入することで、副作用による治療中断例はほとんど見られないようになっています。
最近ではネクサバールに限らず、他の癌腫に用いる分子標的治療剤についても外来でのフォローを行っています。また、分子標的治療剤に限らず、内服抗がん剤での副作用も治療中断の原因の一つとなっており、今後はより幅広く内服治療を受けられている患者さんのサポートを行っていく予定としています。
入院で治療が導入になる患者さんや、外来でフォローされている患者さんの情報を共有するため、2ヶ月に1回ミーティングを行っています。また、得られたデータを基に学会発表や講演なども精力的に行っています。

 

せん妄対策チーム(D-mac)(村川公央)

せん妄は幻視や幻覚、妄想などを引き起こす精神障害のひとつであり、高侵襲性の手術を受ける高齢者に発現しやすい疾患です。手術後におけるせん妄の発症は、カテーテルや点滴の自己抜去など、患者の生命維持の妨げにもなります。岡山大学病院では2012年1月から術後せん妄の発現を予防する目的として、精神科医、リエゾン看護師、臨床心理士、薬剤師で構成する「せん妄対策チーム(D-mac:Derilium Management and Assessment Center)」を立ち上げました。薬剤はせん妄発現の直接的な要因のひとつとされており、せん妄対策チームにおける薬剤師の役割は重要です。せん妄対策チーム中で、薬剤師は入院時の持参薬およびその内服状況、さらに術後に投薬されている薬剤をチェックし、せん妄発症に関わる薬剤の選定を行っています。その情報を主治医またはせん妄対策チームへその情報をフィードバックし、術後せん妄発現の予防に貢献しています。

 

心臓リハビリチーム(錦織淳美)

心臓リハビリとは、心臓病の患者さんが術後・退院後に1日も早く快適な社会生活をおくるため、また心臓病の再発予防をめざす包括的なプログラムです。医師・看護師・理学療法士・管理栄養士・薬剤師・臨床心理士・ソーシャルワーカー・検査技師などがチームを組んで、運動療法・食事療法・薬物療法についてカウンセリングをおこない、患者さんの自立と生活の向上を援助していきます。薬剤師は入院中に内服中の薬と病態との関連について詳しく説明をおこないます。

心臓リハ

 

 

糖尿病センター(晴田佑介)

糖尿病診療は、糖尿病内科のみならず、合併症や糖尿病以外の疾患に対しても多角的に対応する必要があります。そのためには、様々な専門家の医師とメディカルスタッフによるチーム医療が重要です。当院では2012年4月に糖尿病センターが開設され、関連各科の連携はより密接なものとなっています。そして、様々な診療科による勉強会も企画されており、チーム内での知識の共有化も積極的に行っています。
薬剤師は、病棟担当薬剤師と糖尿病療養指導士とで協力して、患者教育に取り組んでいます。教育入院の患者さん個々に対しての指導のほか、週に2回糖尿病教室を受け持っており、それ以外にも周術期の患者さんなどに対する指導も行っています。
2012年より「糖尿病透析予防指導管理料」が算定されるようになり、医師・看護師・管理栄養士が同日に指導を行っています。その際、スタッフが必要性を感じた場合や患者さんが希望される場合は、外来での薬剤指導も対応しています。多くは当日に指導依頼をいただくため、随時対応できるように準備しています。

 

褥瘡対策委員会(猪田宏美)

褥瘡対策委員会は、皮膚科医師、形成外科医師、看護師、栄養士、歯科衛生士、薬剤師で構成される委員会です。委員会は、3ヶ月に1回開かれ、院内の褥瘡患者の発生件数、褥瘡クリニックチームの活動が報告されます。多職種による症例検討も行います。褥瘡の最大の要因は、同じ部分への継続的な圧迫ですが、その他、様々な要因が、褥瘡の発生に関与しています。皮膚組織とベッドマットとの摩擦、皮膚の状態(不潔になる、乾燥しているなど)といった局所的な要因も重要ですが、がん性疼痛、心不全、重症の感染症などが原因で、低栄養、るいそう、寝たきりの状態が持続することも要因になります。褥瘡は、多くの要因が関与するため、多職種のメンバーが関わっています。薬剤師は、褥瘡に対する薬物治療だけではなく、栄養状態、褥瘡の回復を妨げる薬剤、原疾患(がん、糖尿病など)に対して使用されている薬物治療も把握する必要があります。2012年から、「床ずれ(褥瘡)予防キャンペーン」と題して、院内で啓発活動を行っています。キャンペーン当日は、病棟で実際に患者ケアに関わる看護師、家族を介護している方など、様々な方が参加されました(写真)。

褥創対策委員会

 

 

認知症疾患医療センター(江角 悟)

認知症疾患医療センターでは、高度な鑑別診断や薬物治療の方針を決定し,かかりつけ医をサポートします。また,認知症患者さんの問題行動や合併する身体疾患に関しては,入院加療や適切な医療機関の紹介を行います。さらに,介護者や家族への教育活動や一般市民への啓発活動に努めます。岡山大学病院は、慈圭病院、川崎医科大学附属病院、倉敷平成病院とともに、平成24年度から岡山県の認知症疾患医療センターとして指定され、分担して岡山県内の認知症患者さんやご家族・介護者の皆様、かかりつけ医のサポートを行っています(岡山市の認知症疾患医療センターは岡山赤十字病院が指定されています)。薬剤師は薬を通して認知症疾患医療センターの活動に参画しています。抗認知症薬の処方傾向の調査、薬剤に関する相談応需および情報発信を行い、認知症患者さんの薬物治療が適切に行われるように努めています。詳しくは、岡山大学病院 総合患者支援センターのホームページをご覧ください。

 

 

頭頸部がんセンター(久保和子)

頭頸部は人間が生きていくための機能で最も大切な、呼吸、摂食、会話、外観などに関わってくる部位です。この領域に発生する頭頸部癌(舌、のど、あご、鼻、耳などのがん)は、これらの機能を著しく障害することにより、生活の質に直接影響します。そのため、これらの治療は、がんの根治を求めながら治療後の生活の質をいかに維持するかが大切であり、幅広い専門性を有するチーム医療が求められます。頭頸部がんセンターは、2012年4月に、医科、歯科、看護部、その他のメディカル部門などを含めた診療科の枠を超えたチーム医療を、一貫して行うことができる国立大学病院で初めての施設として設立されました。薬剤師もチームの一員として、主に入院患者さんに対する術前・術後の薬剤管理や服薬支援、化学療法・放射線療法時の薬剤説明のほか、口腔粘膜炎・嚥下時痛・放射線皮膚炎など頭頸部がん治療特有の副作用に対して、症状に応じた対策を他の専門職と連携して行うことで、治療が完遂できるよう支援しています。
また、週1回多職種で定期的に開催する頭頸部キャンサーボードおよび摂食・嚥下・栄養カンファレンスでは、様々な視点からの問題点や情報を共有することで、患者さん個々に応じた最高水準の医療がチームとして提供できるよう取り組んでいます。詳しくは、岡山大学病院 頭頸部がんセンターのホームページもご覧ください。

 

 

臨床研究コーディネーター(Clinical Research Coordinator; CRC)(上田久美子、成本由佳、斎藤まど香、長井美貴、佐藤稔子、廣江訓子、奥田浩人、田中雄太)

治験とは、医薬品としての製造販売の承認を得るために、健康な人や患者さんの協力で安全性の評価と有効性の確認を行う臨床試験のことです。治験には、研究的または試験的な側面がありますが、医薬品として世に出るためには、専門の医師と患者さんの協力によるこのような研究と試験が必要です。なお、治験は医薬品医療機器等法、GCP、実施計画書などを遵守することが必要であるため、医師と患者さんだけで行えるものではなく支援するスタッフが必要となります。主に治験の実施について支援するのが臨床研究コーディネーター(CRC)です。
治験推進部には約20名の薬剤師、看護師、臨床検査技師がCRCとして所属しています。このうち薬剤師は8名です。CRCは被験者である患者さんに対して、治験内容の説明や、服薬指導、有害事象のチェックなど、様々なケア・サポートをしています。また、医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師、放射線技師など院内外の多くの医療スタッフや、治験依頼者である製薬企業・CROの担当者と連携するためのコミュニケーションスキルも求められます。これら関係者と治験毎にチームを組み、よりよい薬をより早く、患者さんに届けることを目指して日々努力しています。
詳しくは、岡山大学病院 治験推進部のホームページもご覧ください。