がんに対する分子標的薬の耐性とその克服

生涯で癌に罹患する確率は約50%(男性約60%、女性約40%)であり、日本における死亡原因の第一位です。癌に対する治療は、手術、抗癌剤、放射線治療などによって行われていますが、いずれもQOLを著しく低下させます。抗癌剤による治療は、一般的に悪心・嘔吐、脱毛など激しい副作用を伴いますが、近年、遺伝子解析が進み、特定の分子を標的とした「分子標的治療薬」が開発されてきたことによって、副作用の少ない抗癌剤治療が行われるようになってきています。しかしながら、分子標的治療薬の適応となる癌の種類がまだまだ少ないことや、薬剤感受性の低い患者(新規耐性)がいること、薬剤感受性が低下(獲得耐性)する場合があることなどが分子標的治療薬を用いた薬物治療における課題として挙げられます。当研究室では、これらの課題解決のために、分子標的治療薬が著効する患者集団(ハイパーレスポンダー)やその診断法(コンパニオン診断法)の同定や、抗癌剤耐性化の分子メカニズムの解析を行っています。癌患者と非癌健常者、抗癌剤感受性と耐性(細胞、マウス)を最新鋭の機器を用いて分子レベルで比較することによって、「分子レベルの差(違い)=分子標的」を同定し、作用の解析を行っています。また、分子標的を基に、実臨床への応用を目指した、診断法、治療法(治療薬)の開発を進めています。癌の克服と癌患者のQOL向上を目指して、リバーストランスレーショナルリサーチ・トランスレーショナルリサーチを双方向に行っております。

2015_9_15-研究概要