脳内自己刺激行動を用いた意欲・動機付けの脳内発現機構研究

うつ病や、認知症、パーキンソン病などの精神・神経疾患に共通する症状として、意欲の低下が知られています。また、健常な人でも労働意欲や生きる意欲が喪失し、ニートや自殺者が増加することで社会的な問題となっています。先に挙げた精神・神経疾患には抗うつ薬やパーキンソン病治療薬などの治療薬が用いられていますが、意欲低下を改善するための有効な治療薬は臨床上、存在しません。その理由として、意欲の脳内メカニズムが明らかでなく、創薬のターゲットを特定できないこと、さらには意欲改善薬の作用を評価し、意欲のメカニズムを解明するための実験手法が確立されていないことが挙げられます。私たちは、脳内自己刺激行動という、報酬や学習を評価する実験を応用した実験装置を作成し、この装置を用いた行動実験手法は動物の報酬に対する動機づけ(≒意欲)を評価する実験系として妥当であることを明らかにしました。さらに、脳内神経系のうちドパミン神経に対する薬物処置が動機づけ行動に大きな影響を与えることが分かりました。現在は、動機づけ行動を行った動物の脳内で生じている神経反応について、抑うつ状態や薬物依存状態等における神経反応との差異を特定し、動機付け行動に特異的な神経メカニズムの解明に取り組んでいます。

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