学会発表のお知らせ:第100回医療薬学公開シンポジウムを開催しました
2026年1月6日
多彩なデータサイエンスが拓く医療薬学研究の新展開
2025年11月1日(土)、岡山大学鹿田キャンパス 医学部鹿田会館講堂において、一般社団法人日本医療薬学会主催「第100回医療薬学公開シンポジウム」が開催されました。本シンポジウムは、薬剤師、大学教員、薬学生、その他医療関係者を対象に、「多彩なデータサイエンスが織りなす医療薬学研究による変革への挑戦」をメインテーマとして企画され、岡山大学病院薬剤部長・座間味義人(岡山大学学術研究院 医療開発領域 薬剤部 教授・薬剤部長)が実行委員長を務めました。
特別講演:データ駆動型医療薬学研究の現状と未来
特別講演では、徳島大学大学院 医歯薬学研究部 医学域 臨床薬理学分野 教授・徳島大学病院 病院長補佐・薬剤部長・総合臨床研究センター部長の石澤啓介先生をお招きし、「未来をつくる医療薬学研究~データ駆動型アプローチの可能性と挑戦~」と題してご講演いただきました。
電子カルテやレジストリなどの医療情報を活用したデータ駆動型研究の意義と課題、さらに若手薬剤師・研究者に求められる視点について、具体的な事例を交えながらわかりやすくご紹介いただき、データサイエンス時代における医療薬学研究の方向性を再確認する貴重な機会となりました。
シンポジウム:岡山大学病院薬剤部を中心とした多彩なデータサイエンスの実践
シンポジウムでは、岡山大学病院薬剤部および岡山大学の各分野から、データサイエンスを活用した取り組みについて5題の講演が行われました。
特に、本学病院薬剤部からは、座間味実行委員長のもと、田中雄太 副薬剤部長および濱野裕章 講師・副薬剤部長が登壇し、日常業務から研究まで一貫した「データに基づく薬物療法の質向上」への取り組みを紹介しました。
講演プログラム
- 「病院薬剤師業務におけるデータ活用と業務効率化への取り組み」
岡山大学病院 薬剤部 副薬剤部長 田中 雄太 先生 - 「ゲノム情報を活用した医療・健康管理へのデータサイエンスの貢献」
岡山大学大学院 臨床薬学教育研究センター 薬学教育研究部門 講師 武田 達明 先生 - 「多様なレジストリデータがつなぐ用量設計の新展開」
岡山大学学術研究院 医歯薬学域 臨床基礎統合薬学分野 教授 山本 和宏 先生 - 「疾患構造の可視化と予測に向けた臨床疫学とデータサイエンスの融合」
岡山大学学術研究院 医歯薬学域 薬学データサイエンス分野 教授
ハイフォン医科薬科大学 名誉教授 小山 敏広 先生 - 「医療情報を用いた薬物療法の質的向上への挑戦」
岡山大学学術研究院 医療開発領域 薬剤部 講師・副薬剤部長
九州大学システム情報科学研究院 学際情報学特別部門 准教授 濱野 裕章 先生
病院薬剤師業務におけるデータ活用、ゲノム情報やレジストリデータを用いた用量設計の高度化、疾患構造の可視化・予測モデル構築、さらには医療情報を活用した薬物療法の質的向上など、多彩な取り組みが共有されました。
岡山大学病院薬剤部としても、日常診療で蓄積されるデータを研究へとつなげ、そこで得られた知見を再び診療現場へ還元する「データサイエンス循環」を推進していく重要性を再認識する機会となりました。
また、開会にあたり、日赤薬剤師会 会長・岡山県病院薬剤師会 会長・岡山赤十字病院 院長補佐・薬剤部長の森英樹先生より、ご挨拶を賜りました。ご挨拶の中では、多様なデータを統合的に活用するデータサイエンスが、地域の疾病構造や医療ニーズの可視化、医療資源の最適配分、さらには病院と地域薬局・行政・大学の連携強化に大きく貢献しうることが強調され、シンポジウムのテーマとも響き合う、力強いメッセージとなりました。
おわりに
第100回という節目の公開シンポジウムを岡山の地で開催できましたことは、本院薬剤部にとっても大きな励みとなりました。ご講演を賜りました石澤啓介先生をはじめ、ご登壇いただいた演者の先生方、企画・運営にご尽力いただいた岡山大学病院薬剤部スタッフ、日本医療薬学会事務局の皆様に、心より御礼申し上げます。
岡山大学病院薬剤部は、今後もデータサイエンスを活用した医療薬学研究を通じて、安全で質の高い薬物療法の提供と、医療現場からの変革に取り組んでまいります。