薬剤部紹介

薬剤部長あいさつ

この度、岡山大学病院薬剤部の前薬剤部長であられた千堂年昭先生の後任として、令和3年9月1日付けで薬剤部長を拝命しました座間味義人と申します。まだまだ若輩者で至らない部分も多いですが、日本有数の歴史と伝統を誇る岡山大学病院の一員として薬剤部運営を担当させていただける名誉に恥じないよう、業務に臨む決意を新たにしたところであります。
まず、現代医療において、薬剤師は医師と協働する薬剤の専門家として薬物治療の責任を分担する一方で、チーム医療への貢献を介した医療従事者の負担軽減、医療安全の向上が求められています。こうした社会背景から、私は薬剤部における人材育成が最重要事項であると考え、薬学的見地からエビデンス発信を行うPharmacist-Scientistや近年の社会ニーズに沿ったデジタルに長けた薬剤師の育成を第一に掲げています。また、日々変わりゆく医療変革の中、薬剤部員それぞれがやりがいを感じながら大学病院薬剤部における先進的な薬剤師業務と教育、そして研究の三本柱を展開し、全国に向けた発信を介して特定機能病院における高度医療と社会の発展に寄与できるよう取り組んでいく所存です。

臨床業務では、当院薬剤部が全国でも先駆けて展開してきた周術期医療や、幅広い領域の薬剤師外来などをさらに発展させていきたいと考えています。新たな取り組みとしては、臨床研究中核拠点病院およびゲノム中核拠点病院に指定されている当院の強みと、データサイエンスの優位性を活かした先進的な薬剤業務を展開する予定です。また、特定機能病院への経営参画を図る一環として、薬剤師が関与する診療報酬を効果的に算定できる人員配置の最適化や後発品・バイオシミラーへの切り替え、フォーミュラリーも推進していきます。そのほか、災害・新興感染症などの緊急事態に迅速に対応できる体制の強化も図らなければなりません。一方、病院薬剤師の社会的な役割が拡大していることから、業務量が増加する傾向にありますので、デジタルの導入などによって薬剤業務を効率化し、働き方改革にも取り組みたいと考えています。

当院薬剤部は、全国的に見ても質の高い薬剤師研修や病院実務実習を展開してきました。これらの教育に加えて、デジタル薬剤業務、データサイエンス、ゲノム医療、先進的な臨床試験を効率的に学べる教育プログラムを新たに構築したいと考えています。また、各領域における学位取得も推進し、薬剤師だけでなく薬学生への教育も強化することで、将来的に大学病院・民間病院等において指導的な立場を担える薬剤師や、薬学部・データサイエンス関連学部における教員の輩出を目指します。これらの教育プログラムでは、大学病院のみならず、医歯薬学総合研究科・工学部をはじめとした幅広い学部学科の諸先生方、岡山大学で運営されている医療AI人材育成プログラムの御支援をいただきながら取り組んでいきます。

私達が展開する研究は、大規模医療情報データベースを基盤にバイオインフォやケモインフォを組み合わせたデータサイエンスを主軸としており、特に既存薬の適応拡大を目指したドラッグリポジショニング創薬研究では、多岐に渡るデータベースの解析によって有効性・安全性の評価やメカニズムの解明までを一元化しています。この研究手法は、幅広い疾患領域の基礎と臨床の橋渡し研究に信頼性の高いシーズを迅速に提供するため、岡山大学病院が指定されている臨床研究中核拠点病院における特定臨床研究や医師主導治験の活性化にも貢献できるのではないかと期待を寄せています。これらに加えて、データサイエンスと基礎研究を統合した新規的な研究領域を発展させるべく、医学と薬学を結ぶ学問体系の構築も視野に入れています。 その一方で、本学においては、がん薬物療法の領域で卓越した研究成果をあげられている先生方が多数在籍されておりますので、その御支援をいただきながら、抗がん剤の抗腫瘍効果の増強、もしくは副作用の軽減を目的とした新しい学術領域である「創薬シナジー研究」を展開する予定です。

当院薬剤部は先導的な薬剤師を育成する組織として、研究だけではなく臨床業務に関する教育も充実しており、理想の薬剤師像を追い求められる環境が整っています。その中で、私は臨床業務、研究、教育の三本柱を展開し、岡山大学の強みを最大限発揮させた成果によって地域社会への貢献を目指しています。当院薬剤部で切磋琢磨していきたいと門戸を叩く皆さんと一緒に、医療の発展に従事できる日を心待ちにしております。